2007 年 9 巻 3 号 p. 83-95
大阪府内に立地し建築(改築,改装を含む)後半年以上経過した105軒の住宅を対象として化学物質による室内空気汚染の実態を調査した。調査期間は2003年6月~2004年1月であり,各住宅における化学物質の捕集は,普段の生活環境下において24時間行った。捕集された二酸化窒素及びホルムアルデヒドは比色法,揮発性有機i化合物(VOC)38種及び準揮発性有機化合物(SVOC)39種はGC/MSにより定量した。二酸化窒素(中央値:35μg/m3),ホルムアルデヒド(31μg/m3),トルエン(22μg/m3),酢酸エチル(12μg/m3)の濃度レベルが比較的高く,高濃度のα-ピネン(最高値:1800μg/m3),p-ジクロロベンゼン(1770μg/m3)が検出された住宅もあった。室内濃度が厚労省指針値を超過した物質はp-ジクロロベンゼン(10%)のみであった。ホルムアルデヒド及び二酸化窒素濃度は冬季に高かった。SVO Cのなかではフタル酸ジ-n-ブチル及びフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)等の室内濃度レベルが高く,多くのフタル酸及びリン酸エステル類の室内濃度は冬季よりも夏季において高かった。共力剤S-421の室内空気中からの検出頻度は高く,9割の住宅より検出された。これまでに室内空気汚染物質として報告例のないメトキサジアゾンを含む13種の殺菌剤・殺虫剤が室内空気中より検出された